アメリカ合衆国大統領選挙も,ムーミンも,

設問を解く上では関係ありません。

共通テストが終わり,各予備校やYouTuberなどが地理Bの設問についての講評を出しています。こういった論評のなかで,よく取り上げられ誤った情報として流されている象徴的なものが,第4問の問6で出題された「2012年・2016年のアメリカ合衆国大統領選挙における各州の選挙人数」の資料を使った設問です。

T進の講評では「“政経”の要素が含まれる」,とあるYouTuberは「地理以外の政治経済科目の知識があるかないかで,正解できるかどうかが決まる」などと繰り返していますが,まったくの的外れです。とくにT進の先生には,タレント活動ばかりではなく,本業のほうもまじめに分析していただきたいものです。

資料の一部に「ムーミン」が使用された2018年の設問と同じで,純粋に地理の知識で解ける設問です。

まず,( ラ )は,単に図5からの地域のよみ取りです。漢字が読めることと,小学生高学年レベルの文章読解力,そして地図上での東西南北の方位がわかれば,簡単に正答が選べます。

そして,( リ )ですが,設問の文章に「五大湖沿岸の地域では,2012年の民主党に代わって,2016年には共和党の候補者が選挙人を獲得した州が多く分布する。これは,グローバル化の影響で衰退したこの地域の製造業について,共和党の候補者が( リ )政策を主張したことなどが大きく影響した」とあります。五大湖沿岸は“ラストベルト”などとよばれ,近年,製造業が衰退し雇用環境が悪化しているということは,地理の基礎知識です。このような地域で住民の支持が得られる政策は,「移民労働力を増やす」政策のはずはなく,「工場の海外移転を抑制する」政策にきまっています。

「アメリカ合衆国大統領選挙」についての政治経済科目の知識は必要なく,純粋な地理の設問といえます。

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