共通テスト系の某模擬試験「地理」の論評

遅れ日程での高校実施もほぼ終了したようですので,名称は出しませんが,今年度の共通テスト系の某模擬試験の「地理」について論評します。
客観的事実にもとづいた論評であっても,日本のオトナ社会に正義はなく感情と損得で動いているため,少しでも仕事からホサれる可能性があることについては,いずれの講師も口をつぐみますので,代わりに論評します。

解説が間違っていたり,地形図上で指示されている場所が不明確で設問が解けなかったりなど,細かな問題点はいろいろとありますが,
次の2点については,受験生が混乱し大きな不利益を与える内容であるため,受験生の不安を払拭するために指摘しておきたいと思います。

某模試の設問は組合せ選択肢の割合が極めて多く,複数の情報を短時間で処理するような“IQテスト”的な能力を試す内容となっています。本番の共通テストで試される“地理的思考力”とは異なります。“地理的思考力”とは,たとえば,統計資料からよみとった「数値」と,教科書レベルの学習で習得した「基礎的な知識」を組み合わせて解答を導くといった能力です。過去問を解けばこのことは容易にわかると思います。

また,出題範囲についても,地理は実質的に全範囲であるのに対して,日本史は授業で習った範囲となっており,選択科目によって条件が異なるというのは,模試としての客観性に欠けます。

これらのことは,自分だけの偏狭な見方ではなく,模擬試験に造詣の深い河合塾地理科講師K氏ともおおむね見解は一致しています。

模試作成の現場は,「正論より鶴の一声」,地理学的に言えば「セイロン島よりトゥルカナ湖」で,このような環境に嫌気がさしたことや,方向性の相違から,共通テスト模試の作成からはいったん撤退しましたが,ケンカをしても復帰する時期がきているのかもしれません。いや,復帰以前にホサれてるかもしれません。

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